POINT
20世紀の名作椅子として称されるアリンコチェア
アリンコチェアは、アルネ・ヤコブセンによりデンマークの製薬グループであるノボノルディスク社の社員食堂用の椅子としてデザインされました。当初、プロトタイプでの終了が予定されていましたが、アルネ・ヤコブセンが椅子の売れ行きが思わしくない際には自ら買い取ることを保証し、生産したとか。フリッツハンセンのコレクションにおいて最も重要なデザインアイコンの一つとなっています。
背と座が一枚の3次元成形合板で作られた、世界初の椅子
1952年に世界ではじめて背と座の一体の成形合板を開発したフリッツ・ハンセン社からアルネ・ヤコブセンがデザインし登場したのが、アリンコチェア。座面は薄い9枚レイヤーの積層合板で構成されており、外側を美しい木目の仕上げ板で挟み、3枚目を横目使い、中央は縦目使いにし、それぞれの板の間に2枚のコットンテキスタイルを挟み込み、椅子の形に3次元成型した高度な技術で作られています。
コンセプトは、3本脚(椅子)と、2本脚(人間)で安定感のある機能を満たすチェア
シンプルなほっそりとしたフォルムにも関わらず、非常に座り心地の良いアリンコチェア。元々このチェアは、3本脚(椅子)と2本脚(人間)で安定感のある機能を満たすという独特のコンセプトを元にデザインされていたもので、腰掛けた際に、椅子の脚に触れることなく快適であるが、座姿勢によっては不安定になることもあり、1980年に安定性が考慮され4本脚のアリンコチェアが発売されています。
芸術とまで称された美しい独特なフォルム
アリンコチェアは、美術館や学校、カフェなどの幅広い施設で使用されており、ダイニングチェアとしても非常に座り心地が良く、日常生活にも馴染みやすいデザインです。芸術とまで称された美しい独特なフォルムと、どこか愛嬌のある背もたれの印象は、一度目にしたら忘れられません。