POINT
美しい品格を備え、吊り橋の原理を応用したチェア
デザイナーのイヴ・ベアールは、ハーマンミラーのリーフライトのデザインも手掛けています。自分への期待や「普通の考え方」といった枠にとらわれないベアールの自由な考え方に、ハーマンミラーは共感し、美しいデザイン、最先端の人間工学、洗練された設計工学、環境への配慮など、ハーマンミラーの特長すべてを兼ね備えながら、手頃な価格帯のワークチェアの開発を依頼しました。まず、自分のスケッチブックにチャールズ・イームズの言葉「最大多数の人に、最高のものを、最低価格で」と書きつけることから始め、サンフランシスコを自分のホームタウンと呼ぶ彼は、市内で最も有名な建造物である「ゴールデン・ゲート・ブリッジ」をふと眺めました。その時「吊り橋の原理をチェアに応用できないだろうか」と考えたのです。このアイデアは実際可能であるばかりか、フレームのない背もたれをサスペンションタワーで支えることにより、使用する素材の量やチェアの重量、さらに環境負荷も減らせることが分かりました。柔軟性のあるエラストマー製のサスペンション素材は、サポートの必要な部分では張力を最大限に発揮するように、またほかの部分では身体の自由な動きを妨げない強度になるようにと、張力を調整して張ることが出来たのです。
快適性を組み合わせたリクライニングとスムーズな変化
こうしてコンセプトは固まりましたが、実際にこうしたチェアを開発することはそれほど簡単ではありませんでした。セイルチェアはコンピューター上で設計されたのではなく、何度もスケッチを繰り返し、数多くの試作品が作られた末に、ようやく理想のデザインにたどり着きました。ところで、それではなぜこのチェアの名前は「セイル」なのでしょうか。チェアを横から見ると、帆船の帆に見えてきませんか。「セイル」という名は、この独創的なデザインへのインスピレーションの元となった橋の下を通過する帆船を連想させます。さらに、このチェアの革新的なYタワー構造の「Y」にちなんで、「sail」の「i」を「y」に代えて表記するようにしました。
内蔵されたポスチャーフィットや幅広いオプション
セイルチェアのフレームのないメッシュ状の3Dインテリジェントサスペンションバックは、座る人の身体を支えるサポートと自由な動きとの健康的なバランスを保ちます。サスペンションバックのエラストマーは、厚みと強度が異なり、背骨の部分ではより高いサポート力、その他の部分ではより少ないサポート力を提供し、背骨が自然な「S」の字を保つことで、座っている時の様々な動きを促し、快適性を向上させます。また、背骨の自然なカーブにフィットするよう垂直方向に調整できるランバーサポートから、フルアジャスタブルアームまで、お好みに合わせてセイルチェアをカスタマイズできるオプションも揃っています。
責任あるデザインと表情豊かなセイルチェア
吊り橋の工学原理を応用することにより、最小限の素材を独創的な方法で使用して、最大350ポンド(159kg)までの体重を人間工学的にサポートできるようにしました。また、セイルチェアにはPVC(ポリ塩化ビニール)は含まれておらず、素材はほぼ完全にリサイクル可能です。また、フレームのない背もたれとYタワー構造は、印象的な美しさを生み出すとともに、デザイナーのインスピレーションと意図を明らかにしています。座面は布張り仕様、背もたれはサスペンションタイプとアプホルスター(布張り)タイプがあり、様々なカラーのオプションから、お好みの表情をお選びいただけます。アプホルスターバックの場合でも、3Dインテリジェントサスペンションと同じような構造が内部に採用されており、一般的な椅子の背もたれの外観でありながらも、サスペンションタイプ同等のダイナミック・サポートを提供します。