POINT
ロルフ・フェルバウムの存在無くして、生まれなかったパントンチェア
デンマーク出身のデザイナー、Verner Panton(ヴェルナー・パントン)がキャンチレバーのプラスチック製の椅子を開発したのは1950年代後半のことですが、当時その美しいデザインの椅子を製品化できる製造元はありませんでした。パントンのアイデアにもともと興味を持っていたVitra(ヴィトラ)社の創業者であるウィリ・フェルバウムは、息子のロルフとヴィトラの生産開発責任者であるマンフレッド・ディーボールドからの報告を受け、この椅子の製品化を決意します。そして1963年にヴィトラとヴァーナー・パントンは椅子の開発に取り掛かります。これは当時のプラスチックの技術において画期的な取り組みでありました。
シート形状を現代に合わせて最適化し、新たなカラーが加わりました
Panton Chair(パントンチェア) にも新しいカラーバリエーションが加わります。新しいカラーバリエーションは、より現代にマッチし、インテリアのアクセントになっており、子供用サイズのパントンジュニアとも組み合わせられるよう考慮しながら、屋内外の様々な利用シーンを意識した独自のカラーバリエーションになっています。また、100%リサイクル可能で環境に配慮したポリプロピレン素材のパントンチェア本体には紫外線による退色を遅らせる特殊な加工を施しており、アウトドアでも使用可能です。また、今回、パントンチェアのシート形状をパントンの家族との協議を経て、現代のニーズに合わせてアップデートされています。この50年の間に人々の平均身長が伸びてきたことも考慮し、ダイニングチェアとして今まで以上に使いやすいように、座面の高さとベックレストの角度を最適化。弧を描いたベースには初めてグライドが組み込まれ、象徴的なシルエット全体がより洗練されました。
身体に添ったカーブと素材を細部まで追求した機能性
Panton Chair(パントンチェア)と言えば、彫刻のように美しい曲線のデザイン。一見、不安定な構造に思えるかも知れませんが、人の身体に添ったカーブと素材の特性を活かした構造によって細部まで追求した機能性を兼ね備えており、荷重によってチェア本体が適度に撓ることで、想像を超えた座り心地を提供してくれます。ダイニングとしてはもちろん、書斎やオフィスなど、どんな場所にも適応し、ホームからコントラクト、オブジェ的なアクセントにも対応するミッドセンチュリーを代表する名作椅子、それがパントンチェアです。もちろん、室内だけでなくガーデンチェアやカフェテラスなど、屋外でもお使いいただけます。
半世紀を超えても進化し続ける世界初のプラスチック一体成型チェア
1967年に最初の150脚のパントンチェアが作られましたが、製造費の高騰と複雑な工程のため大量生産には至りませんでした。その後、度重なる試作の末、1968年にはFRP素材に鋳型を使って成型する製造方法により、現在の「Panton Chair Classoc(パントン チェア クラシック)」の量産が始まりましたが、依然として多くの手作業による仕上げが必要でした。さらに研究を続け、新しいプラスチック素材が解決策に繋がることを発見しましたが、強度に問題が生じ、1979年には一旦生産を中止せざるを得ませんでした。しかし、その後もパントンチェアへの情熱は冷めることなく、1990年にはヴィトラはより強度の高いポリウレタン素材を使用して再度生産を開始、1999年に素材をポリプロピレンに変更することにより、ついに現在のパントンチェアへとたどり着いたのです。