POINT
対数螺旋を使用したシェードで構成されたPHランプのシンプルな基本形
ポール・へニングセンは、1926年に開発した3枚シェードシステムに基づき、1931年に眩しさのない「グレア・フリー」の光を放つ「PH2/2 テーブルランプを設計しました。シェードから放たれる光はテーブル面を最も明るく照らし、心地よい光を拡散します。理想的で柔らかな雰囲気を作り出すために、ハンドメイドのガラスが用いられ、クラシックでありながらひと目で「PHランプ」と認識できるほど特徴のあるデザインです。また、へニングセンが設計したのは単なるランプではなく、包括的な照明システムであり、その生涯において100種にわたるモデルを生み出しました。そこにはウォールランプ、テーブルランプ、フロアランプはもとより、天井の高い住宅用として1930年代にポピュラーとなったシャンデリアの数々も含まれます。たくさんの組み合わせやオプションもありました。色やサイズのヴァリエーションも豊富でした。初期のシェードは金属製で、内側を白、ゴールド、シルバーなどで塗装し、拡散する光、温かみのある光、クールな光など、使用場所に応じて仕上げを選択するようになっていました。その後、3枚シェードシステムにガラスが加わりました。へニングセンは、照明器具のデザインに科学的アプローチを採用し、シェードの曲線に対数螺旋を使用した最初の人物でした。対数螺旋に基づくデザインを採用することで、シェードの曲面全体にわたってなだらかな配光を得ることに成功したのです。
3枚のシェードシステムによってグレアと影のコントロールを可能にしました
3枚シェードシステムによるランプの数学的な命名は、システムPHとのヘニングセンの合理的な作業に由来しています。アッパーシェードの直径サイズ比に基づく分数を示しており、トップシェードを、元々ランプが3:2:1の比率で開発されたミドルシェード、ボトムシェードと組み合わせると、「PH3/3」と「PH5/5」のような基本型になります。PHランプのモデル番号は、シェードのサイズを表しており、PH3/3などの基本型は、直径約30cmのトップ・シェードに、対応するミドルシェードとボトムシェードがセットされています。シェードの比率はおよそ3:2:1で、PH2/1などのハイブリッサイズと比較して、より丸くコンパクトな外観です。なだらかな配光は、シェード内面が反射する拡散光と合わさって、グレアと影のコントロールを可能にしました。各シェードが反射する光量は、光源との距離が大きくなるにつれ均等に減少します。
乳白色ガラスシェードまたは金属製のシェードのコンビネーション
PH3/3やPH5/5のシェードは、それぞれ乳白色ガラスシェードまたは金属製のシェード(外側はブラックマット塗装・内側はホワイトマット塗装)のコンビネーションです。乳白のガラスシェードは、外側と内側の層に光沢ある透明ガラスを用い、真中の乳白ガラス層をサンドイッチした三層構造。さらに、電球から直接光を受けるシェードの内側はサンドブラスト加工を施したマット状になっており、目に心地よいソフトな光を反射し、均等に拡散させてくれます。