POINT
フリッツ・ハンセン創業150周年を記念して復刻した幻の名作
1952年にデザインされ、数量限定モデルとして1997年に初めて製品化されたオリジナルモデルの名称は「PK0」です。今日までわずか600脚しか存在しないPK0は、生産技術の限界に挑みつづけたケアホルムの長期的かつ入念な挑戦の賜物です。ヘンリー・ムーアやジャン・アルプをはじめとする芸術家たちの彫刻と当時のアメリカや日本のデザインムーブメントからインスパイアされており、ケアホルムの作品としては珍しいフォルムを備えています。フリッツ・ハンセン創業150周年を記念して、2022年に新バージョンのモデル名「PK0 A」として、強度を改良しつつオリジナルに近いかたちで復刻されました。
無駄のない彫刻のような美しいフォルム
成形合板の限界を押し上げ、素材を自ら追求するピュリスムの言語へと変えたPK0 Aには、無駄なところが一切ありません。この度発売されるPK0 Aは、オレゴンパインとブラックカラードアッシュの2種類展開で、ウッドとコントラストを描く朱色のスペーサーが付属します。時の試練に耐えられるようにと設計・製造された先見性あふれるPK0 Aは、見る人の好奇心を掻き立てつつ、流れるようなカーブが視線を惹きつけます。どの角度から見ても美しいPK0 Aは、美学と素材に対するケアホルムの慧眼へのトリビュートであると同時に、ご自宅のインテリアの一部として、あるいは単独のステイトメントピースとしても活躍します。
美術工芸学校時代から温められていたPK0のアイデア
1952年、ポール・ケアホルムは美術工芸学校を卒業して、ハンス J.ウェグナーの事務所からも退所し、フリッツ・ハンセンに入社しました。当時フリッツ・ハンセンは、アルネ・ヤコブセンの名作アントチェアの製造を進めており、彼も成功合板を用いたPK0を提案しましたが、技術的に困難な部分もあり、残念ながら製品化には至りませんでした。その後、ケアホルムは1年ほどでフリッツ・ハンセンを退社、1955年に家具メーカーのアイヴィン・コル・クリステンセン社とのコラボレーションを始めました。(PK0のアイデアは、美術工芸学校時代から温めており、1951年に描かれたドローイングにも登場。当時から朱色のスペーサーが描かれていました。)