Nisse Strinning(ニルス・ストリニング)
ストリングの生みの親で建築家ニルス・ストリニングは、1917年12月8日スウェーデンのストックホルムで誕生しました。1940 年代始め、ニルスがストックホルムで建築を学んでいた頃のこと、寒い北国であるにも関わらず、冷たい水で食器を手洗いし、衛生的ではないにしろ洗ったものはタオルで拭き、また自然乾燥するにも長い時間が必要でした。ニルスはそんな世の中の要望に応えるべく、自然乾燥しながら食器をそのまま収納できるラックを考案しました。その後、従姉妹のブリッタの夫アーネ・リドマールとともにワイヤー部分を樹脂加工にした製品開発をスタートし、1948年アーネはワイヤー収納システムブランドelfa社を設立し、商品を世に普及させていきました。それらはその後多くの家庭のクローゼットや洗濯かご、キッチンのシンク用バスケットになり、今日でも北欧の日常に欠かせないアイテムとして定着しています。同じ頃、大手出版社ボニエールは「これからは書籍が一般の家庭にも普及するだろう」と考え、本棚のコンペティションを開催しました。ニルスはアーネと開発した樹脂素材のワイヤーからヒントを得て、また、当時ボニエールが行っていたワゴン車での書籍販売にも最適なフラット梱包が可能な本棚をデザインしました。世界中から194組の応募があった中、ニルスのシェルフが優秀賞を受賞して商品化されることになりました。この本棚こそがストリングの歴史の始まりです。すべての製品の誕生には、時代背景やそれまでの歴史が大きく影響し、商品化されるまでにひとつの物語が存在します。ニルス・ストリニングのものづくりには、必ずこの哲学が存在しています。