POINT
ディーター・ラムスの哲学を継ぐ、MoMA永久展示所蔵品の名品ウォールクロックを再現 「良いデザインは目立たない」
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久展示所蔵品となった「ABW30」を忠実に再現したモデル「BC06」。文字盤は平面ではなく立体となっているため光の反射を極力抑えられどの方面から見ても美しいフォルムを保ってくれます。壁から外すことなく、全面からそのまま時刻を合わせることができる機能性や、秒針の動作音が小さい静音設計のスウィープムーブメントなど、実用性も兼ねそろえたコレクションです。
家電デザインに革命をもたらしたBRAUN社
国際都市フランクフルトの郊外に位置し、古き良き伝統を受け継ぐ街、クロンベルグに1921年にマックス・ブラウンによってラジオ部品の製造会社として誕生した「BRAUN(ブラウン)」。Mid‐Century(ミッドセンチュリー)モダンデザインが世に産声を上げたこの時代に、ブラウン社創業家2代目当主のエルヴィン・ブラウンは「デザインは古き良きイギリス執事のように控えめだが、必要な時にはいつもそばにいる家庭機器が我々の理想だ」と述べ、家電デザインに革命を起こしました。以降、「全てのデザインは機能から優先される“機能主義”」を一貫し、革新的なデザインを数多く輩出したBRAUN社の家電製品は、今も尚、色あせる事のない造形物として、デザイナーやコレクターを魅了し続けています。
シンプルかつ機能美に優れたミニマムデザイン
コンパクトなサイズながら、離れた位置からでも時間を視認しやすいデザインが特徴のウォールクロック(BC06)は、「時間を見る」という道具としての実用性から生まれた最もシンプルで視認性の高い時計に仕上げており、BRAUNらしい機能美あふれる逸品としてニューヨーク近代美術館の永久展示所蔵品とされています。その視認性を考慮された色使いや読みやすい文字盤は、同社の使うことに対する真摯な姿勢を随所に垣間見ることが出来るプロダクトです。表面を覆うフレームがないことで、どの角度から見ても反射しない設計。たった数ミリの立体的にデザインされた文字盤はインデックスと時針が同じ高さになり、視認性を上げています。モダンなリビングや書斎、色の統一された会議室から色の溢れるアパレルショップまで、初めからそこにあったかのように調和するデザインは、ギフトにも最適なアイテムです。
巨匠、Dieter Rams(ディーター・ラムス)
BRAUNデザインチームのチーフとして約40年間に渡り、500を超える名作を世に送り出した巨匠、Dieter Rams(ディーター・ラムス)。バウハウスデザインの流れを組む“機能が決定するデザインは、クロックやウォッチ等多くの製品がMoMAにも所蔵されています。彼の哲学とも言えるプロダクトデザインの心得とした、“良いデザインの10カ条”は、現代のデザイナー達にも多大な影響を与え、現在、世界中で愛用されている携帯電話や音楽家電等を通じてもその流れを確認する事ができます。Dietrich Lubs(デートリッヒ・ルブス)は、1938年ドイツ、ハンブルグ生まれ。船舶造形技師を目指す傍らブラウン社に勤務するが、製図技術が認められ1962年にブラウン社のプロダクトデザイン部に配属となる。1971年クロック部門のチーフデザイナーとなり、クロック・電卓部門のデザインを数多く手掛ける。1976年に発表した電卓『ET22』は、人間工学的デザインの見本として絶賛を受ける。1995年ブラウン社のチーフデザイナーに就任。ブラウンのポリシーを象徴するクロック類の殆どを手掛け、優れた機能性と普遍的なデザインを生み出した。その偉大なる功績は、十数年たった現在も多くの人々を魅了し続けている。