POINT
アルテックの伝統を重んじながらも、独自の美を見出したデザイン
カアリのデザインは、アルテックの考え方を尊重しながらも、非常に斬新です。つまり、歴代のアルテック製品に倣ったものではないデザインと言えます。ロナン & エルワン・ブルレック兄弟は多くのアイデアを考案しましたが、彼らの最初の提案で既に注目すべき、スマートなテーブルの脚のアイデアが飛び出していました。具体的には、サイズや形に関わらず様々な天板を支える脚のシステム構造。ミニマル、そして上品で実用的なオーク材の木目が美しい壁付けフックです。
湾曲したスチールレッグは、視覚的にリズム感をもたらし、空間に動きを与えます
この原理は非常にシンプルで、垂直方向にかかる重みが木製部品により支えられ、エレガントで薄い湾曲したスチール製の部品が斜め方向の支えとなります。頑丈な縦方向に支える木製部品とスチール製部品が全体のデザインに対して軽やかさをもたらし、独特の直線的なシルエットを形作ります。これらのテーブルのシルエットは視覚的にリズム感をもたらし、空間に動きを与えてくれます。ロナン&エルワン・ブルレックによるカアリシリーズに共通する2つの素材、オーク材とスチールを用いた壁付けフック(REB014)は、 シンプルでエレガントなコートフックとして公共空間や住まいなどあらゆる場所で実用性を発揮します。
アアルトが開発したL -レッグと同様、重要視されるシステムという概念
それぞれ2つのサイズの長方形と円形テーブル以外に、カアリ・コレクションにはデスク、大小2種のサイズの壁付け棚、小サイズの円形壁付け棚があります。素材だけでなく、システムという概念もアルテックの歴史において非常に重要視されています。テーブル、椅子、スツール等の様々なものを支えるためにアアルトが開発したL -レッグのシステムと同様、ロナン & エルワン・ブルレックは木製部品とスチール製部品を組み合わせて円形テーブル用の脚、長方形テーブル用のシンメトリーな翼型をした脚、デスクを片側で支える翼型の脚を作りました。同様の原理は壁付け式のテーブルや棚にも適用されています。カアリは、アルテックの伝統を重んじながらも、独自の美を見出し、これまでのアルテックの名作とは別の存在感を放っているのです。