POINT
人間工学に基づいた座り心地と完成されたデザイン
CH26は、1950年にラウンジチェアのCH22のデザインにあたり、ウェグナーはこの椅子のダイニングチェアバージョンを手書きの図面に残していました。しかし、CH22とは異なり一度も生産ラインに乗ることがなく、そればかりか試作品さえも現存していない幻の椅子となっていました。半世紀以上を経てようやく発表されたCH26は、CH22との共通点としてカーブを描く印象的なアームの形状が特徴となっています。CH22、CH26ともに人間工学に基づいた素晴らしい座り心地を持ち、独創的な構造とフォルムを兼ね備え、隅々まで検討し尽くして完成したデザインと言えます。
強度があり安定性を重視したデザインに再構築
ダイニング用にデザインされたCH26アームチェアは、テーブルの高さとのバランス、全体のプロモーションなどを考慮し、レッグ部分(脚)や座面の構造を強度があり、安定性を重視したデザインに再構築しています。また、今回の初めての生産にあたりウェグナーの図面よりも高さを2cm高く設計し直しています。これは、当時よりも現代人の身長が高くなっていることを考えて変更されました。
ウェグナーならではのデザイン要素が共通した椅子
CH26の分身であるラウンジチェアCH22は、カール・ハンセン&サン社の為に初めてウェグナーがデザインをしたその最初のデザインモデルです。構造を突き詰め簡素化することによって誕生した明快で独創的なフォルムを特徴とするデザインとなっています。白木を用いたオーガニックなフォルムや構造、印象的な背もたれとオーク材やウォルナット材に変更可能な埋木(キャップ)、ペーパーコードを張った座面と、CH22とCH26の2つの椅子はウェグナーならではのデザイン要素が共通した椅子と言えます。
現代に甦る、若きウェグナーとの恊働作業
Yチェアとして世界的に知られているCH24と、ペーパーコードが美しいラウンジチェアCH25は、発表以来65年以上に渡り、カール・ハンセン&サン社で製造されてきました。CH22とCH23は、製造が一時途絶えてしまっていましたが、今回の復刻に合わせてついに製造が再開。そして、幻のダイニングチェアCH26を加えた5つの椅子がコレクションに加わりました。若きウェグナーの稀有な才能が大きく花開いた初期のデザインとともに、カール・ハンセン&サン社との恊働作業が現代に甦ります。
美しい経年変化が楽しめる天然素材の風合いと、手作業で仕上げられたペーパーコードの座面
ペーパーコードの座面は、すべて手作業によって行われ、職人の手によって当時と変わらぬ手法で仕上げられています。ペーパーコードとは、樹脂を含浸させた紙を縒ったコード(紐)のことで、資源に制限のあった戦後に生産されるようになり、本来は収穫した農作物を束ねる用途で使用されていました。紙を縒ったペーパーコードは、革やほかの素材に比べてコストも低く、品質にばらつきがない上に、クッション性もあり、さらに使用感も優れている等の理由から椅子の座面に用いられてきました。また、手作業によって1本1本編まれているので、同じものがこの世に一つとして存在しません。適度な緩みによるフィット感や、表面加工を施していない為、経年変化による美しく自然な古色が楽しめます。
ペーパーコードのお手入れについて
定期的に掃除機でペーパーコードの間のホコリを取り除いて下さい。もし、誤って濡らしてしまった場合は、こすらない様に注意して水分を取り除き、陰干しして完全に乾燥するまでは使用を避けて下さい。無理にこすったり、濡れたままで使用すると、ペーパーコードの寿命を短くする恐れがあります。万が一の場合には、座面の張替えサービスも行っておりますので、安心して長く愛用いただけます。