POINT
アーティストから建築家まで挙って使用したランプ
DCWコレクションのストーリーは、世界のモダンデザインの歴史のなかでも特筆すべきものとして語られます。そのコレクションは、Bernard-Albin Gras(バーナード・アルビン・グラス)が、オフィス用、産業用のランプのシリーズをデザインした1921年に遡ります。そのシリーズは、「The Lampe Gras(ランペグラス)」と名付けられ、シンプルかつ人間工学にもとづいたデザインで、時代を先取りしていました。さらに、ランプには一切のビスも溶接も用いていません。ランペグラスは、1920年代以降、デザインと構造は徐々に進化していきました。多くの異なる業種のカスタマーに愛されましたが、そのうちのひとりに、20世紀の建築の巨匠、Le Corbusier(ル・コルビュジエ)がいます。コルビュジエは自身のオフィスで使うばかりでなく、彼が手がける世界中のプロジェクトで採用したのです。また、アーティストのソニア・ドローネやジョルジュ・ブラックのスタジオでも使用。その後、Bernard-Albin Gras(バーナード・アルビン・グラス)のランプは、公共スペースと住宅の双方の場で採用される歴史上最初のランプとして人気を博しました。
スタンドタイプから、シーリング・ウォールランプまで
世界的な彫刻家、Alexander Calder(アレクサンダー・カルダー)の大ファンでもあった、デザイナーのBernard Schottlander(バーナード・ショットランダー)は、1951年に発表されカルダーの代表作にもなった動く彫刻「モビール」に感銘を受け、敬意を評して製作したのが、このLAMPE MANTIS(ランペ マンティス)です。コルビュジエが愛した、LAMPE GRAS(ランペグラス)シリーズと同様に多数のバリエーションが存在しており、書斎のデスクからベッド横のナイトテーブルで活躍するテーブルスタンド、リビングに置いたソファやラウンジチェアでの読書に最適なフロアランプ。そして、印象的なアームが空間を際立たせるシーリングやウォールランプまで、実に豊富なバリエーションが展開されています。無機質な空間から木質の温かなスタイル、そして、畳や障子などの日本的な様式まで、スタイルに偏ることなく、様々なインテリアやシーンでお使いいただけます。
それぞれのパーツが目的を持って存在する絶妙な構造
流れるようなフォルムが特徴のマンティスは、ベースから繊細に伸びる支柱とシェードを繋ぐラインがとても美しく、ベース部分に設けられたウェイト部分に差し込まれた支柱の位置を変えることで、4段階の傾斜調節(約20°)が可能。目的に合わせて、シェードポジションを変更することができます。また、支柱は360°の回転が行え、シェード部分も可動します。暫し、フランスのセルジュ・ムーユの照明と比較されがちですが、インダストリアルな雰囲気だけでなく、アートや芸術に近い世界観と彫刻からヒントを得たバランスデザインが有機的に共存しており、質の異なる独創的な照明シリーズと言えます。