POINT
ベテランの技から生まれるシンプリティと新しい価値の創造
Navy Chairは、アメリカでは希少なハンドメイド製品。1点1点熟練工によって丹念に作り上げられるチェアは、彫刻的なフォルムと温もり、存在感を放ちます。スタンダードなブラッシュ仕上げは手作業による温かいテクスチャー。また、ポリッシュ仕上げは、1脚磨き上げるのになんと、約8時間も必要とし、その独特な深い光沢はもはや一つのアート作品と言っても過言ではありません。軽量でありながらスチールの3倍もの強度を持ち、その品質と信頼は、優れた職人技による独自の製法と工程によって支えられています。シンプルな機能美のアームレスチェア(1006)であっても、77もの工程を得て初めて誕生します。この独自の製法は「77STEPS」と呼ばれ、基本工程として他の エメコ社のチェアにも踏襲されています。
フィリップ・スタルクやフランク・O・ゲーリーなど有名なデザイナーや建築家がデザインに参加
その後、第二次世界大戦後まで何十年にもわたり、海軍の椅子として使われてきましたが、創設者の息子であるGregg Buchbinder(グレッグ・バックバインダー)は、1990年の半ばになって、突然この椅子がアメリカや海外の有名なビルの中に数多く見られることに気づきました。工場側で販売の努力をすることなく、有名な建築家たちが、デザイン性や歴史が裏付ける機能・耐久性からこのアルミニウムの椅子を使い始めたのです。このことにより、彼は世界的に有名なアルミニウム製の家具会社を創業したいと意欲を燃やし、短期間のうちに実現しました。2000年、エメコ社は最初のデザイナーに、Philippe Starck(フィリップ・スタルク)を迎え、新しいアルミ椅子を発表したことに続き、Hudson Chair(ハドソンチェア) などの名作椅子を次々に発表。これらはすぐに近代美術館の常設展示のコレクションに加えられることになります。以後10年間、建築家フランク・O・ゲーリーやその他の有名なデザイナーがエメコ社のアルミニウムの椅子をデザインし、近年では、コカ・コーラ社との共同開発による111本のペットボトルをリサイクルし製造された「111 Navy Char」で話題にもなっています。
ベティーのヒップラインに影響を受けたデザイン
アメリカ海軍の潜水艦のために作られたアルミニウム素材の椅子「Navy Chair」の座面部分は、人間のお尻に合わせたフォルムになっています。この特徴的な座面の形は、第二次世界大戦中に最も多くの場所で貼られていたポスターの一枚である「ピンアップガール」のモデルであった、Betty Grable(ベティー・グレイブル)のヒップラインに影響を受けてデザインされたといわれています。
まさにアメリカンなコーク缶リサイクルアルミを使用
アルミニウムの特性としては、錆びにくく軽くて磁力がない。そして非常に強いということが挙げられます。また、アルミは地金を生産する消費エネルギーのわずか5%程のエネルギーで簡単に再生可能。また、椅子の製法は、それぞれの構成部品をつなぐための金具を不必要とし、これがコピー商品をつくることを難しくしています。使用するアルミニウムの75~80%はリサイクルアルミニウムで、そのうちの半分はコークの缶です。