POINT
名作として愛されるVL45(ラジオハウス ペンダント)が、オリジナルデザインで甦りました
1940年代にラジオハウス(デンマーク放送局)のためにデザインされたペンダントランプが、VL45(ラジオハウス ペンダント)として甦りました。ラジオハウスペンダントは、デンマークモダニズムと機能主義建築の代表的アーキテクトだったVilhelm Lauritzen(ヴィルヘルム・ラウリッツェン)がデンマーク放送局を設計した際に作られました。当時、ラウリッツェンはラジオハウスで使用された照明をすべてルイスポールセンとのコラボレーションでデザインしています。以来、ラジオハウスペンダントは、公共建築のみならず住宅やレストランでも名作照明として愛され続け、そのオリジナルランプは、今もアンティークマーケットやオークションでの人気を保つ名作デザインです。
直径17.5cmと25cmと37cmの3つのサイズ
VL45(ラジオハウスペンダント)は、直径25cmと37cmのこれまでのサイズに小さな直径17.5cmが加わり使いやすい3つのサイズ展開になりました。勿論、デザインはオリジナルそのままです。下側に開口部がある特徴的なフォルムのガラスシェードは、ハンドメイドの吹きガラス。内側と外側の2層の透明なガラスが、真ん中の乳白色ガラス層をはさみこむ3層構造です。そのため、内部の電球イメージを見せることなく、ガラスの全体が滑らかに発光します。
1920年から自然光についてすでに徹底した研究を行っていた、素材と光を融合するマエストロ
「ラジオハウスペンダントとラジオハウスとの歴史的つながりは、そのデザインにはっきり見て取れます。このペンダントは、ラジオハウス内のさまざまな場所で全般照明器具として使われました。つまり、強い下向きの直接光で下方にある物をくっきり照らし、乳白色ガラスを通した柔らかいトーンの光で空間を照らすという、2つの機能を果たすデザインです。あらゆるものを美しく照らそうという意図が、シンプルなフォルムに表われています。控えめな装飾としての美しさがあり、時間に持ちこたえる名品とモダンなものを組み合わせようとする、現代のインテリアスタイルにもマッチします」と、ルイスポールセンのデザインマネージャー、ラスムス・マークホルトは語ります。
ラウリッツェンが設計した名建築、ラジオハウス(デンマーク放送局)
ラウリッツェンは、1934年にラジオハウスの設計を任されました、それは建築コンペティションで勝ち取った仕事ではなく、彼の大胆な行動の結果でした。当時あったデンマーク放送局の建物(“巣箱”と呼ばれていた)は、オープンからわずか数年で、早くも建築界の恥として有名になっており、スタジオには外部の騒音が忍び込み、コンサートホールと劇場を兼ねたホールは、音楽と演劇のどちらの面でもアーティストの期待に応えられませんでした。ラウリッツェンは行動的な建築家でした。この状況を絶好のチャンスとみた彼は、自ら放送協会にアプローチし、新しいラジオハウスの計画を提案し、契約を得たのです。戦争の勃発のため建物の完成は遅れ、竣工までには約10年を要しましたが、そうした遅れも建築家にとっては、細心のデザインを作り上げ、あらゆるディテールの完成度を高めるのに必要な時間が取れることを意味しました。例えば、彼と彼のスタッフは、スタジオと大きなコンサートホールの音響を、まるでストラディヴァリウスを扱うかのように細やかに調整し、そのプロセス全体を通じて、彼らは実物大でパネルをテストし、必要に応じて形状や素材に手を加えながら、1:1のスケールで音響実験を行うという滅多にない機会に恵まれたのでした。現在では、デンマーク放送局は新しい場所に移転し、ラウリッツェンのラジオハウスはデンマーク音楽大学の建物として生まれ変わっています。ラジオハウスから音楽大学へのコンヴァージョンは、ラウリッツェンへの深い愛情をもって行なわれ、彼の建築のクオリティーは可能な限り保存されました。。