1920年から自然光についてすでに徹底した研究を行っていた、素材と光を融合するマエスト
ヴィルヘルム・ラウリッツェンは、素材と光を融合させる天才でした。彼は1920年の早くから、自然光についての徹底した研究を行ない、アーキテクトとしての人生を通し、自分が設計する建築物と調和するランプのデザインと改善に取り組んでいました。VL38シリーズは、1930~1940年代のモダンな雰囲気を感じさせますが、そのタイムレスなデザインは現代のインテリア空間に新鮮さを与えます。
眩しさを感じさせない穏やかな光
VL38シリーズのデザインには、ラジオハウスのために設計したシャンデリアと多くの共通点があります。非常にシンプルで機能的、エレガントな照明シリーズで、白色と真鍮の組み合わせがとても美しいタイムレスなデザイン。シェードの形によって光が下方向に向けられるため、眩しさを感じさせない穏やかな光を発します。
ラウリッツェンが設計した名建築、ラジオハウス(デンマーク放送局)
ラウリッツェンは、1934年にラジオハウスの設計を任されました、それは建築コンペティションで勝ち取った仕事ではなく、彼の大胆な行動の結果でした。当時あったデンマーク放送局の建物(“巣箱”と呼ばれていた)は、オープンからわずか数年で、早くも建築界の恥として有名になっており、スタジオには外部の騒音が忍び込み、コンサートホールと劇場を兼ねたホールは、音楽と演劇のどちらの面でもアーティストの期待に応えられませんでした。ラウリッツェンは行動的な建築家でした。この状況を絶好のチャンスとみた彼は、自ら放送協会にアプローチし、新しいラジオハウスの計画を提案し、契約を得たのです。戦争の勃発のため建物の完成は遅れ、竣工までには約10年を要しましたが、そうした遅れも建築家にとっては、細心のデザインを作り上げ、あらゆるディテールの完成度を高めるのに必要な時間が取れることを意味しました。例えば、彼と彼のスタッフは、スタジオと大きなコンサートホールの音響を、まるでストラディヴァリウスを扱うかのように細やかに調整し、そのプロセス全体を通じて、彼らは実物大でパネルをテストし、必要に応じて形状や素材に手を加えながら、1:1のスケールで音響実験を行うという滅多にない機会に恵まれたのでした。現在では、デンマーク放送局は新しい場所に移転し、ラウリッツェンのラジオハウスはデンマーク音楽大学の建物として生まれ変わっています。ラジオハウスから音楽大学へのコンヴァージョンは、ラウリッツェンへの深い愛情をもって行なわれ、彼の建築のクオリティーは可能な限り保存されました。