POINT
着座姿勢を重視する考え方ではなく、身体にちょうどいい刺激を与えるため「動く」ことに注目
IT技術の発展に伴い、私たちのワークスタイルは大きく変化しました。PC作業の長時間化に比例するように身体の疾患を訴える人は増加し、ワーカーの大きな悩みとなっています。それは、デスクワークの間、指先でキーボードとマウスを触ること以外、私たちがほとんど身体を動かしていないからです。長時間同じ姿勢でいると、私たちの身体能力は低下し、身体の不調の原因となることは知られています。こうした背景から、着座姿勢を重視する従来の考え方ではなく、着座時にも身体にちょうどいい刺激を与えるため「動く」ことに注目。新たな人間工学的アプローチで、より自然で自由に座ることで、身心を開放させ健康的に座ることを目指したのです。
Trimension(トリメンション)- 世界初三次元シンクロメカニズムを採用した高機能チェア
ドイツ国立ケルン体育大学と協働し、5年の歳月を経てウィルクハーンが独自に開発した、ワーキングチェアのリクライニングをコントロールするメカニズム。それがトリメンションです。トリメンションの開発がはじまった2005年当時、すでにほとんどのワーキングチェアは背もたれが前後に動く機能を備えていました。しかし、裏を返せば、誰も背もたれの左右の動きや、傾く座面の必要性に気づいてはいませんでした。
ユーザーの動きにシンクロする背もたれと座面
前後、左右、そしてそれらが組み合わさった回転運動ー人間の関節の動きをモデルに設計されたトリメンションメカニズムは、ユーザーとシンクロするかのように動く背もたれと座面をワーキングチェアにもたらしました。つまり、ユーザーの身体の動きを制限せず、ダイナミックにサポートすることを可能にしたのです。
柔軟に対応する幅広い可動域
座面は+12度から-5度、背もたれは最大28度、前後に傾斜します。加えて左右に最大13°傾く広い可動域を持ち、トリメンションの特性を十分体感することができます。ガスリフト上下昇降はSH400~520mmの範囲で調節可能。
とびきりポップなカラーバリエーション
レッド/オレンジ/ターコイズ/ライトグレーの4色は、フレーム・ベースまで色を合わせることができます。フレーム・ベースの塗装は、カラフルな4色と、スタイリッシュなブラック、シルバーサテンとでは質感が異なります。ブラックとシルバーサテンがモノクロームカラーが映える艶あり仕上であるのに対し、レッド/オレンジ/ターコイズ/ライトグレーの4色は、カジュアル感のあるマット仕上です。カラーとテクスチャーの印象を合わせて、統一感を演出しています。
専用の3Dニット生地を開発
フレームが3次元にしなっても、たるみやよれを起こさない、専用の3Dニット生地が開発されました。スポーツシューズの生地をつくる特殊な機械で編まれており、背もたれの生地は背中の部位それぞれに最適なサポートが提供できるよう、X字型に編み分けられています。また、水分を含むことで膨張する特性を持つ繊維でできており、濡らした状態で張り作業を行い、その後乾かすことで立体的な曲線を描くフレームにフィットさせています。
ウィルクハーン社の徹底したエコロジー思想は、経営指針にも現れています
ドイツは、徹底した循環型の環境政策をとる環境先進国です。消費者が製品や企業の取り組みを見る目も非常に厳しく、環境に対する意識が高い国民性はよく知られるところです。ウィルクハーン社は、2代目フリッツ・ハーネの強いリーダーシップのもと、80年代後半から活動の全てにブレイクダウンして環境問題に取り組み始め、1990年には「目先の利益より環境を優先する」という環境宣言を発表。その徹底した企業活動によりドイツ環境賞(1966年)やアメリカ経済優先度評議会(CEP)の企業表彰(1997年)を受賞しています。例えば、ウィルクハーン社の工場棟は、自然保護設計・サスティナビリティ(持続可能性)建築で世界的に有名なトーマス・ヘルツォーク氏の手によるもので、天然材料あるいは再生可能な材料、再生材料を使用し、熱と光を最大限に利用した太陽電池や熱交換システムにより、電力消費や環境負荷が極限まで抑えられています。
1992年に完成した8,000平方メートルの敷地に建つ工場棟は、サステイナビリティーと太陽エネルギーを取り入れたデザインで世界的に知られるドイツの建築家トーマス・ヘルツォークによって設計されました。3つのガラス張りのホールと4つの高層架台が構脚構造でサンドイッチ状に繋がれています。十字に交差した鉄鋼のアンカー棒によるサスペンション構造の外観が視覚的な軽量感を映し出しています。自然光を有効利用するための高い遮蔽性を持った特別なガラス張りのファサード、化学物質を可能な限り排気するベンチレーション・システム、太陽エネルギープラントを持ち、温暖化防止と雨水を貯蔵するための緑化された屋根が備わっており、エコロジー建築のお手本と言えるでしょう。
1987年に着工され、翌年完成した縫製・椅子張り工場であるパビリオンは、大型吊り天井が特徴的なミュンヘン・オリンピック・スタジアム(1972)を設計して有名になった、ドイツの建築家フライ・オットーによって設計されました。木製の梁で構成された軽量吊り屋根式のテントのようなパビリオンが4つ並んで建ち、製造ラインの四方を壁で囲む従来の産業建築とはまったく異なって、その形状は風景に円満に溶け込んでいます。内部は高さ11メートルの天井から自然光が降り注ぎ、木のナチュラルな雰囲気が、健康的で効率的に働く意欲を引き出します。これらのパビリオンは世界的に人間指向の産業建築の教科書的モデルと見なされています。