POINT
半世紀以上も色褪せない繊細で実用的かつ遊び心のあるデザイン
環境や時代によって変化し対応する先駆的で持続可能な生産方法に適合するデザインを探すために、mater(メーター)社は、故ヨルゲンとナナ・ディッツェルの遺産やデザインを管理するディッツェルのデザインスタジオで現在マネージャーを務める、長女のデニー・ディッツェルと提携。1955年にディッツェル夫婦がプライベート使用のためデザインし、コルス社で製作されていたのがオリジナル。当時、素材にはベニヤ材とスチールフレームが用いられていました。共にアーカイブをスクリーニングして、魚網やその他の海洋プラスチック廃棄物を使用する製造方法に理想的なデザインを探し、遂にOcean(オーシャン)と新しく名付けた屋外用の家具コレクションが誕生しました。今回の復刻について、現代人の体型に合わせてオリジナルサイズより約5%ほどサイズが拡張されましたが、元のフォルムを崩さないようにしつつ、モダンなデザインプロポーションへと改良されました。シンプルで、軽快な形状には、ディッツェル夫婦による繊細で、実用的かつ遊び心のあるデザインへの配慮が息づいているのです。
分解・解体のためのデザイン
mater(メーター)社のサスティナブル・デザインへのアプローチは、リサイクル思考がベースとなっています。それは純素材の使用を最小限にし、廃棄物をリサイクルし価値ある方法とデザインに変換するという資源の再利用でした。Ocean Collection(オーシャン コレクション)は、このミッションをまさしく実現したもので、このテーブルとチェアは「分解・解体」のために製作されています。それは、元純成分がリサイクルされ、脈々と新たな生産サイクルへと変換されていきます。リサイクル素材の使用と、ユニークなデザイン、そして確固たる生産技術があることで、素材もデザインも寿命を延ばし、まさにタイムレスな製作が可能となります。また、世界一美しいと評されるデンマークのルイジアナ現代美術館にも公式採用されており、エーレスンド海峡が一望できるルイジアナ・カフェのテラスで実際に使用されています。
世界的な問題でもある海洋廃棄物(漁師網)の再生素材
mater(メーター)社が世界唯一のリサイクル技術をもつデンマークの「Plastix社」と協力することは、国連が掲げる「SEG」のゴールを目指すことでした。Plastix社は、漁猟網などの海洋廃棄物やゴミを、貴重なリサイクルプラスチック原料の”グリーン・プラスチック”に変える技術を持っています。回収された漁猟網は慎重に選別、分析、洗浄された後、独自のグリーン・プラスチックは溶解され、快適な座り心地の椅子の元となる素材へと形成されるのです。Ocean Collection(オーシャン コレクション)は、海洋廃棄物から再生されたプラスチックで組み合わされ、世界の海洋汚染を防ぐ革新的なソリューションをサポートしています。2019年には、持続可能で革新的な考え方が表彰され、Wallpaper* Magazines Design賞を受賞。プラスチック廃棄物の削減に役立ち、「責任ある消費と生産」(SDGs 12)によってSDGsにも貢献し、「海の豊かさを守る」(SDGs 14)というテーマに沿った、海洋汚染の解決策の一環でもあります。及び「目標のためのパートナーシップ」(SDGs17)を支援しています。
※オーシャンチェア1脚につき、約960gの海洋廃棄物を回収していることになり、海汚染のプラスティックの回収に貢献。(約1kgの再生プラスティックは、約1.7kgのCO2削減)また、1脚のオーシャン・チェアは、普通のプラスチック製造物に比べ、二酸化炭素(約1.6kg分)の排出物質を削減します。これは、約82%もの二酸化炭素排出量削減に相当。