POINT
快適な弾力性のポリウレタンシェル
マールテン・ヴァン・セーヴェレンによるデザイン
ベルギーを代表するプロダクトデザイナー、Maarten Van Severen(マールテン・ヴァン・セーヴェレン)によって、1998年にデザインされた.03(ゼロスリー)。
ゼロスリーは、滑らかな美しいフォルムが印象的です。
弾力性のある一体型のポリウレタンフォーム製のシートシェルと、スチール製のチューブフレームを組み合わせたチェアは、座る人の体に合わせてしなります。一体化されたスプリングによって作り出された驚異的な快適性は、座った瞬間に感じられ、快適な座り心地を提供します。
また、スタッキングモデルは12脚までスタッキングが可能。
カラーバリエーションも豊富で、オフィスなどのコントラクトシーンからご家庭のダイニングチェアまで世界中で幅広く愛され続けています。
洗練されたデザインと驚きの柔軟性を持つゼロスリー
.03(ゼロスリー)と名付けられた直線が印象的なこのチェアは、「置かれた環境の中で、できるだけ自然でありたい」という、デザイナーとしての彼の情熱を具現化したチェアであり、一見すると薄いプラスティックと金属を組み合わせただけの固くて冷たいイメージを持ってしまいますが、一度身体をあずけてしまえば、実はポリウレタン製である座面の柔軟なフィット感と快適さに驚いてしまいます。幅広いインテリアとも調和する洗練されたシンプルなデザインは、素材の持ち味を最大限まで引き出した機能性を持ち合わせており、非常にスリムな大きさながらも、複数のスタッキングを可能としているので、現在では、世界中のオフィスからご家庭のダイニングまで愛用され続けています。シアトル中央図書館をはじめとする有名な公共施設をはじめ、カフェやレストランまで、身近なシーンでも数多く導入されているので、目にしたことがある方も居るのではないでしょうか。2018年からは、カラーバリエーションも豊富に一新されており、シーンを問わずますますコーディネイトの幅を広げています。
絶妙なバランスで緻密に設計されたミニマムデザイン
細部まで絶妙なバランスで緻密に設計されている、.03(ゼロスリー)チェアの座面は、背と座がひとつながりの弾力性のあるインテグラルスキン・ポリウレタンフォームと、スチールチューブフレーム構造により成り立っています。外見からは見えませんが、バックレスト内部にはスプリングが内蔵されているので、フレキシブルな反動が適度に与えてくれ、身体を優しくサポートしてくれるのです。また、バックレッグはスチールチューブ構造で、フロントレッグは軽快なアルミ製となっており、角度をつけた後ろ足方向に、的確に重力が働く様に考えられています。バリエーションも豊富に用意されており、スタッキング可能なモデルと、ノンスタッキングの2種類に加え、脚部はブラックと2018年にリニューアルしたシルバースムースのパウダーコート仕上げ、もしくはクロームメッキ仕上げから選択できます。(別途、グライド部(*脚先)もカーペット用やハードフロア用からお選び頂けくことが可能)スタッキングモデルでは、床置きでなんと12脚まで可能となっています。また、製品の組み上げには、接着剤等の有害物質を一切使用していないので、分解してリサイクルが可能ですので、環境に配慮している点からも洗練された美しいデザインと言えます。
快適な座り心地を約束するポリウレタンの座面と金属フレーム
一般的に、建築家レム・コールハース設計の「ボルドーの家」のインテリアを担当したことでも有名なマールテン・ヴァン・セーヴェレンですが、1990年代までは世界的にはあまり知られていませんでした。1998年にVitra社から発表され、コントラクトシーンやホームユースでもロングセラーとなった「.03(ゼロスリー)」チェア開発の背景には、.02(ゼロツー)チェアと呼ばれる幻の椅子がありました。1992年に設計された.02チェアは、フォルムこそ.03チェアに近いデザインでしたが、背座面に薄くスライスした1枚のビーチ材(プライウッド)を使用しており、これをアルミニウムフレームと組み合わせた構造でした。当時、まだ小さな作業スペースしかない中で、何度も何度もプロトタイプを制作し続け、快適な座り心地を可能にしたポリウレタンを座面を採用したことで、ようやく完成したのが、名作チェア.03と言われています。完成と時を同じくして、レム・コールハースのインテリアや家具のデザインを努めていたマールテンでしたが、Vitra社のCEOの目に止まったことで、名作を次々に生み出すコラボレーションがスタートしていきます。.03チェア発表の翌年、1999年には、キャスター仕様の.04(ゼロフォー)や、キャンチレバー構造により柔軟性を追求した.05(ゼロファイブ)。そのラウンジ仕様で快適なバックレストを実現する一体型複合スプリング構造の.06(ゼロシックス)を発表しました。
多くのデザイナーや建築家に影響を与え続けているデザイン
マールテン・ヴァン・セーヴェレンは、直線が美しいシルエットを生み出す、A-Table(エイテーブル)や、自身の名を冠したシェーズロングタイプのMVS Chaise(エムブイエス シェーズ)などの多くのデザインを、休む間もなく立て続けに発表しますが、2005年に発表された、カラフルなストレージユニット、Kast(カスト)を最後に、残念ながら49歳の若さでこの世を去ってしまいます。自らの死期を知りながらも魂を焦がしてまで、現代のインテリア界を駆け抜けた姿と、無駄のない美しいデザインは、多くのデザイナーや建築家に影響を与え続けています。(現在、.02チェアは、1/6スケールのミニチュアとなり、Vitra社より発表)