POINT
「普通」って何だろう。「普通」の良さって何だろう。
アルヴァ・アアルトによって1933年にデザインされたこの「スツール60」。円形の座面に象徴的な「L-レッグ」で構成された外観は、どこまでもシンプルでフラットなデザイン。デザインされて80年以上、こんなに長く愛されているスツールが他にあるでしょうか。主張せずとも、そこにあることで何だか「安心」を感じる。「普通」の良さって何だろう。「スツール60」が、一つの答えをくれそうです。
スツールという家具のカテゴリーの完成系と言えます
北欧を代表する家具ブランド Artek（アルテック）。設立者の一人であるAlvar Aalto（アルヴァ・アアルト）が生み出したこのスツールは、発売以来800万脚以上を売上げている、ロングセラー商品です。フィンランドでは、本当にごく一般家庭でも広く普及しており、デザイナーやクリエイターの方のインテリアを観察していると、相当な頻度でこの「スツール60」が登場します。どこまでも普遍的なデザインは、どんなインテリアでも使えますし、スタッキングも可能でさらに軽量と、普段使いに嬉しい利点がたくさんあります。色んなスツールがある中で、これだけのインテリア面での協調性と実用性を兼ね備えたものは他に無いと感じます。
強い強度と独特の質感を生む、世界で唯一の技法「アアルトレッグ」
アアルトがデザインした家具の脚などに象徴的に使われている、積層合板を成形しそれを曲げることで強い強度と独特の質感を生む技法は「アアルトレッグ」呼ばれ、世界で唯一の技法として知られています。通常、木をそのまま曲げてしまうと、強度は格段に低くなってしまう訳ですが、その強度を積層合板で補うという画期的なものでした。この「スツール60」にもその手法が良く見てとれます。柔らかく曲げられた曲面は、外観としての柔らかさも持ち合わせ、このスツールの美しさに大きく貢献しています。強度が高い故に長く使える。自分だけのヴィンテージに育って行く。そんな楽しみ方の出来そうな椅子です。
ヴィンテージ市場でも愛され続けている確かな証拠
強度もデザインも優れたスツール。生まれて80年。80年経てば、その間に幾度となくトレンド、テイストの変化があったことと思います。それなのに、ずっと変わらずヒットを続けています。現に、ヴィンテージ市場でも、丁寧に補修や塗り直しが施された「スツール60」を本当に良く見かけます。
シンプルで間違いのない選択肢
経年変化によって塗装は剥がれ、あるものはへこみが、またあるものは傷だらけ。でも、捨てずにリペアして使い続けたくなる。そんな魅力があるが故に色んな人々に受け継がれ、支持され続けているスツールです。沢山の選択肢がある世の中で、フラットで「普通」なデザインの物を選ぶ。それは、シンプルで間違いのない答えです。
